何度もやってくる辛い頭痛にお困りではないでしょうか。
適切な診断のススメ
片頭痛は前兆の有無などで細かく分類されていますが、最新の診断基準(国際頭痛分類第3版:ICHD-3,2018)では次のように定められています。
前兆のない片頭痛の診断基準
A .B~Dを満たす発作が5回以上ある
国際頭痛分類第3版:ICHD-3,2018
B .頭痛発作の持続時間は4~72時間(未治療もしくは治療が無効の場合)
C .頭痛は以下の4つの特徴の少なくとも2項目を満たす
①片側性
②拍動性
③中等度~重度の頭痛
④日常的な動作(歩行や階段昇降など)により頭痛が増悪する,あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける
D .頭痛発作中に少なくとも以下の1項目を満たす
①悪心または嘔吐(あるいはその両方)
②光過敏および音過敏
E .ほかに最適なICHD-3の診断がない
前兆のある片頭痛の診断基準
A .BおよびCを満たす発作が2回以上ある
国際頭痛分類第3版:ICHD-3,2018
B .以下の完全可逆性前兆症状が1つ以上ある
①視覚症状②感覚症状③言語症状④運動症状⑤脳幹症状⑥網膜症状
C .以下の6つの特徴の少なくとも3項目を満たす
①少なくとも1つの前兆症状は5分以上かけて徐々に進展する
②2つ以上の前兆が引き続き生じる
③それぞれの前兆症状は5~60分持続する
④少なくとも1つの前兆症状は片側性である
⑤少なくとも1つの前兆症状は陽性症状である
⑥前兆に伴って,あるいは前兆出現後60分以内に頭痛が発現する
D .ほかに最適なICHD-3の診断がない
難しい用語も出てきますが、片頭痛は前兆がないタイプもあるということです。今まで緊張型頭痛(いわゆる「肩こり頭痛」)だと思っていた方も、実は片頭痛と気づくかもしれません。逆に、自身では「片頭痛」だと思っている方の中は、実は緊張型頭痛だという方も多くいます。

ネット上にはたくさんの情報があふれていますので、チェックリストに当てはめればご自身の頭痛のタイプが分かるかもしれません。
ただ、実際にはご自身の判定では迷うことも多いかもしれません。片頭痛と緊張型頭痛は診断基準でみると裏返しの関係ですが、その境界は曖昧なところがあります。
一度、脳神経内科専門医あるいは頭痛専門医に相談してはどうでしょうか。
適切な診断を受けるところが頭痛に悩む日々から開放される第一歩です。
適切な治療のススメ
片頭痛のあらましについてはこちらが参考になるかもしれません。
治療は頭痛発作に対する治療と予防治療に大きく分けられます。
頭痛は軽ければ、アセトアミノフェンなどのNSAIDsと呼ばれる消炎鎮痛薬で乗り切ることもできますが、中等度から重度の片頭痛発作の場合は、トリプタン製剤を使用することが一般的です。トリプタン製剤にも複数ありますので特徴に応じて使い分けをします。
生活指導をしても片頭痛発作が月に何度も起きる場合は予防治療が必要です。
予防治療は従来、カルシウム拮抗薬や抗てんかん薬などを使用していましたが、それでも効果がない場合、2021年からは抗CGRP抗体製剤が使えるようになりました。エムガルディ(R)という薬がすでに市販されていて、2021年秋にはアジョビ(R)という薬も発売になる予定です。
当院での頭痛診療
当院では毎月第2・4水曜日夕診で脳神経内科専門医による脳神経内科外来を行っています。
当院の脳神経内科外来ではまず頭痛に関して詳しく問診を行い、適切な診断を目指します。
頭痛ダイアリーをつけていただき、頭痛の状態の把握も行います。
片頭痛と診断した場合、頭痛発作治療薬や発作予防治療をご本人様やご家族様と相談しながら選定していきます。
難治性の片頭痛で適応を満たす場合は抗CGRP抗体製剤の導入を提案させていただくこともあります。
治療が安定したら土曜日を含む他の曜日や午前診でも投薬の継続が可能です。
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